なんとなく体の調子が悪いのに、病院で検査をしても「異常なし」
それなのに、痛みや不快感が続くと「何かおかしいな…」と不安になりますよね。この記事では、そんな「体には現れているけれど、原因が見つからない症状」の正体のひとつと、その背景にあるこころの動きについて、やさしく解説していきます。
少し専門的な内容ですが、初心者の方にもわかりやすくまとめましたので、ぜひ最後まで読んでみてください。
今回の参考書籍

身体症状症とは|体にあらわれる「こころのサイン」
体の不調だけど、検査では異常なし?
身体症状症とは、医学的な検査をしても原因が見つからないのに、頭痛や腹痛、疲労感などの身体の不調が続く状態を指します。
これは「気のせい」というわけではなく、本人にとっては本当に苦しい症状なのです。
たとえば、疲れが取れない、何度もお腹が痛くなる、肌荒れがひどくなる──こういった症状が繰り返したり、長引くこともあります。
病院では「異常なし」と言われても、本人のつらさは決して無視できません。
心理的なストレスが原因になることも
身体症状症の背景には、不安やストレス、心の葛藤があると考えられています。
例えば、学校や職場でのプレッシャー、人間関係の悩みなど、心にたまったストレスが、体の不調という形であらわれることがあるのです。
また、「症状があることで、いやなことを避けられたり、周りの人が心配してくれる」という状態が続くと、無意識のうちに症状が続くことを求めてしまうこともあります。これを「疾病利得(しっぺいりとく)」と呼びます。
複雑な理由が絡み合って生じているため、原因の特定や症状の回復には多面的な視点が必要となります。
身体症状からくるストレス|病気への不安
身体症状症に関連する症状として、「病気不安症(かつては心気症とも)」というものもあります。
これは、医学的に問題が無いにもかかわらず、自分が深刻な疾患に罹患しているのではないかという恐怖感にとらわれ、いつまでも疾患にこだわってしまう症状のことを指します。
たとえばちょっとした胸の痛みを「心臓の病気に違いない」と考えてしまい、不安が強くなるケースなどが含まれます。
身体症状症になりやすい人の特徴|感情をうまく言葉にできない
アレキシサイミア|感情を表現するのが苦手なタイプ
身体症状症になりやすい人の傾向として、「アレキシサイミア(失感情症)」と呼ばれる特徴があることがわかっています。
これは、自分の気持ちに気づいたり、それを言葉にするのが苦手な傾向です。
たとえば、イライラしている理由が自分でもよくわからなかったり、悲しい気持ちをうまく表現できなかったりすることが多くなります。
その結果、心のモヤモヤがうまく処理できず、体に出てしまうのです。
アンヘドニア|楽しさや喜びを感じにくいことも
もうひとつストレスを溜めやすい状態として、「アンヘドニア(失快楽症)」というものもあります。
これは、趣味や友人との時間、達成感など、本来なら楽しいはずのことに喜びを感じにくくなる症状です。
気分が沈みがちになり、ストレスにうまく対応できなくなるため、身体的な症状が出やすくなることがあります。
心と体はつながっている
身体症状症は、「こころの問題が体にあらわれる」ということを、あらためて教えてくれる病気でもあります。
体の症状だけを見るのではなく、心のケアも大切だという視点がとても重要なのです。
まとめ|体の声に耳をすませて、こころもケアしよう
身体症状症は、「病院では原因がわからない体の不調」を感じたとき、こころの状態にも目を向けてみるヒントになります。
自分を責めたり、症状を無理にがまんしたりせず、少しずつ心と体のバランスを整えることが大切です。
もし、長く続く体の不調があったら、医師だけでなくカウンセリングや心理的サポートを利用するのもひとつの方法です。
心と体はいつも互いに関わり合いながら一緒に頑張っています。自分自身をやさしくいたわることを、元気への第一歩にしていきましょう。
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