「自律神経」って説明できる?|こころと体をつなぐ「見えない指令役」

心理学の学びと知識

なんとなく体がだるい、寝ても疲れが取れない、イライラする…。そんな日が続くと、「自律神経が乱れているのかも?」と考えたことがある方もいるかもしれません。
でも「自律神経って何?」と聞かれて、はっきり答えられる人は意外と少ないのではないでしょうか。

この記事では、「自律神経」のはたらきや仕組みを、できるだけやさしい言葉で解説します。私たちの体とこころを見えないところで支えてくれている、自律神経の秘密をのぞいてみましょう。

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自律神経のしくみ|アクセルとブレーキの役割分担

自律神経ってなに?

自律神経は、私たちの意思とは関係なく、体の内側を自動で調整してくれている神経のことです。たとえば、心臓が勝手にドキドキしたり、お腹がグーッと鳴ったりするのは、自律神経が働いているおかげです。

この自律神経は、間脳の「視床下部(ししょうかぶ)」という場所がコントロールセンター。そこからの指令を受けて、体じゅうの器官にメッセージを送ります。実際にそのメッセージを届ける通路は、交感神経と副交感神経という2つの神経に分かれています。

アクセルとブレーキでバランスをとる

交感神経は「アクセル」のような役割。活動するために体をパワーアップさせる神経です。逆に、副交感神経は「ブレーキ」のような存在。リラックスしたり、体を休ませたりするために働きます。

この2つの神経は必要に応じてどちらかが強く働くようになっています。いわば、1台の車をアクセルとブレーキでうまく運転するようなものですね。


体と心にどう影響する?|「自律神経」が関係する日常のあれこれ

情動と自律神経の深い関係

イライラしたときに心拍数が上がったり、怖いと感じたときに汗が出たりする経験、誰にでもあると思います。実はそれが自律神経の仕事です。

恐怖や不安、驚き、怒りなどの強い情動を感じると、交感神経が働いて体を「戦うモード」に切り替えます。逆に、安心してゆったりした気分のときには、副交感神経が優位になり、体もリラックスモードになります

このように、自律神経は心と体をつなぐ「橋渡し」のような存在です。感情の変化が自律神経を通して、体にも影響を与えているんですね。

「戦うモード」については以下の記事も参考にしてみてください!

ストレスの基礎知識を学んでみよう|心と体を守るためのサイン

各器官ではどう働いている?

次の表は、交感神経と副交感神経が、実際に私たちの体のどのような部分にどう働きかけているかをまとめたものです。

器官交感神経の働き副交感神経の働き
心臓心拍数増加心拍数減少
血管収縮(分布なし)
瞳孔開く閉じる
涙腺(分布なし)分泌促進
唾液腺軽く分泌分泌促進
汗腺分泌(分布なし)
消化管働きを抑える働きを促す
膀胱弛緩(溜める)収縮(排出する)

このように、どちらの神経が働くかによって、体の状態はガラリと変わります。たとえば、緊張してお腹が痛くなるのは、交感神経が消化を止めているからとも考えられます。


神経伝達のしくみ|「自律神経のメッセンジャーたち」

神経が出す“伝言メモ”

神経がメッセージを伝えるために使っている物質を「神経伝達物質」といいます。自律神経では、アセチルコリンとノルアドレナリンという2つの物質が主に活躍しています。

まず、脳から自律神経へとつながる最初のステップでは、どちらの神経もアセチルコリンを使って信号を送っています。これは“共通の伝言メモ”のようなものです。

最後の伝達はそれぞれ別の方法で

しかし、それぞれの器官に直接命令を伝える段階では違いがあります。

  • 交感神経ノルアドレナリン(活動のスイッチを入れる)
  • 副交感神経アセチルコリン(休息のスイッチを入れる)

つまり、目的地にメッセージを届ける“最後のひと押し”は、それぞれ別の手段で行っているんですね。これはとても効率的で、必要に応じて正確に切り替わる仕組みになっています。


自律神経を整えるには|日々の小さな工夫がカギ

バランスが崩れるとどうなる?

緊張する場面が長く続き、交感神経ばかりがはたらいていると、副交感神経がうまくはたらかなくなったり、切り替えがスムーズにいかなくなったりします。

このように自律神経のバランスが崩れると、眠れない、疲れが取れない、胃がもたれるなど、体や心にさまざまな不調があらわれます。これは、「アクセルばかり踏んでいて、ブレーキがきかなくなっている」状態ともいえます。

とくにストレスの多い現代では、交感神経が優位になりがちです。そのため、意識して「休む」こと、リラックスする時間を取ることが大切です。

いますぐできる!自律神経ケア

自律神経を整えるには、特別な道具は必要ありません。以下のようなシンプルな習慣が、効果的です。

  • 深呼吸:吸う・吐くをゆっくり意識するだけでも、副交感神経が働きやすくなります。
  • 朝の日光を浴びる:体内時計をリセットし、自律神経のリズムが整います。
  • ぬるめのお風呂に入る:副交感神経が優位になり、眠りやすくなります。

どれも日常に取り入れやすく、すぐに試せるものばかりです。


まとめ|こころと体のメッセージに気づこう

自律神経は、体の内側の働きを無意識に調整してくれる、頼もしいサポーターです。交感神経と副交感神経のバランスが、活動と休息のリズムをつくり出しています。

また、私たちの「気持ち」とも深く関わっていて、ストレスや安心感が、自律神経のスイッチをオン・オフしています。
だからこそ、自分の体と心の反応に少し敏感になってみることが、自律神経を整える第一歩になるのです。

今日の深呼吸ひとつ、朝の散歩ひとつが、自律神経をととのえる小さな力になります。
あなたが「なんだか調子がいいな」と感じられる日が、少しずつ増えていきますように。


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