「心理検査」と聞くと、なんだか難しそう…と思うかもしれません。でも、実は私たちの心を知るために、とても役立つ道具なんです。
この記事では、心理検査の中でもよく使われる方法について、初心者向けにやさしく説明していきます。
心理学を学び始めたばかりの方でも理解しやすいように、それぞれの特徴をできるだけわかりやすくまとめました。この記事を読み終えるころには、心理検査の基本的なイメージがきっとつかめるはずです!
今回の参考書籍

質問紙法|自分で答えて自分を知る
質問紙法ってどんなもの?
質問紙法は、あらかじめ決められた質問に答えてもらう方法です。
たとえば「私はよく落ち込む」という質問に「はい」「いいえ」で答えるようなスタイルです。身近な例では、性格診断テストなどがこれに近いですね。
質問紙法の良いところ
質問紙法の強みは、たくさんの人に一度に実施できること、答えを統計的に分析できること、検査者の技術に左右されにくいことなどが挙げられます。結果を数字で整理できるので、客観的に見やすいのも特徴です。たとえば学校や企業の集団検査にもよく使われます。
質問紙法の注意点
ただし、質問紙法は自分で考えて答えるため、「自分をよく見せたい」という気持ちが入ると結果がゆがむことも。また、無意識の本音まではわかりづらいのが弱点です。
投影法|心の奥を映し出す
投影法ってどんなもの?
投影法は、あいまいな絵や写真、文章などを見せて、「これが何に見えますか?」と自由に答えてもらう方法です。
有名な「ロールシャッハテスト」がこの例ですね。インクの染みが何に見えるかを通して、本人でも気づかない心の動きが現れることがあります。
投影法の良いところ
曖昧な刺激に自由に答えるので、意識してごまかすことが難しいのが強みです。無意識の本音や性格特徴が自然に表れやすいので、より深い理解が得られる場合もあります。
投影法の注意点
一方で、投影法の解釈は検査をする側の腕に大きく左右されるのが難しいところ。解釈に慣れていないと、正しい読み取りが難しく、また検査者の主観が混じるリスクもあります。さらに一人ひとり個別に行うため時間がかかることもデメリットのひとつです。
描画法|絵を描いて心を探る
描画法ってどんなもの?
描画法は、絵を描いてもらい、それを分析する方法です。
たとえば「木の絵を描いてください」と指示し、その絵から性格の特徴を読み取ります。バウムテストやHTPテスト(家・木・人を描くテスト)が代表例です。
描画法の良いところ
絵を描く方法なので、言葉にするのが苦手な小さな子どもや、うまく話せない人にも使えるのが大きなメリットです。また、絵を描く行為自体が心の表現になり、治療的な効果が期待できることもあります。
描画法の注意点
ただし、投影法と同じく絵の解釈には熟練したスキルが必要です。絵の見た目だけで早とちりしてはいけませんし、検査者の主観が入りやすい点も注意が必要です。そのため、単独で使うよりも、ほかの検査と組み合わせて使うのが一般的です。
補足:テストバッテリーとは?
クライエントを多面的に理解するため、複数の心理検査を組み合わせる工夫のことです。ひとつの検査だけでは心の一部分しか見えないことがあるため、違うタイプの検査を組み合わせて、幅広い視点から情報を集めます。
それぞれの検査には得意・不得意があるため、お互いの弱点を補うように組み合わせることが大切です。たとえば、質問紙法で得た情報を、投影法や描画法の結果とあわせて見ることで、より立体的な理解ができるようになります。
作業検査法|シンプルな作業からわかること
作業検査法ってどんなもの?
作業検査法は、単純な作業(たとえば「ひたすら計算を続ける」など)をしてもらい、その結果や作業の様子から心の特徴を探る方法です。「内田クレペリン精神作業検査」がとても有名です。
作業検査法の良いところ
作業検査法は、言葉の壁にあまり左右されないこと、たくさんの人に一度に実施できること、意図的に答えを操作するのが難しいことなどが強みです。また、単純作業に集中するスタイルなので、集中力や持続力、疲れやすさなどの作業能力を知ることができるのもポイントです。
作業検査法の注意点
一方で、得られる情報はやや限られていて、その人のごく一部分しかわからないことも。
たとえば集中力や疲れやすさはわかっても、それがどういう背景から来ているのかまではわかりません。こちらも、ほかの検査とあわせて使うのが効果的です。
まとめ|心を知るヒントはたくさんある
心理検査法には、質問紙法・投影法・描画法・作業検査法といったさまざまな方法があります。それぞれに得意なことと苦手なことがあり、目的に合わせて使い分けることが大切です。
心理検査の知識を持つことで、ふとした瞬間に「なぜ自分はこう感じるんだろう?」と立ち止まって考えるきっかけが生まれるかもしれません。この記事で学んだことをヒントに、日常の気づきを大切にしていきましょう!
コメント