「性格」って、一人ひとり違いますよね。
心理学ではその性格をわかりやすく理解するために、いくつかの方法で「分類」して考えることがあります。今回は、代表的な2つの考え方、「性格類型論」と「性格特性論」について、初心者向けにやさしく紹介していきます。
今回の参考書籍

性格類型論|わかりやすいけれど注意も必要!
性格を「タイプ」で分ける考え方
性格類型論は、人の性格をいくつかの「典型的なタイプ(類型)」に分けて考える方法です。
たとえば、「明るい人」「繊細な人」みたいに、パターンでまとめるイメージです。
→ 【利点】直感的に「この人はこういうタイプかな」とイメージしやすい!
→ 【欠点】みんながきっちりどれかに当てはまるわけではなく、複数のタイプを持つ人や、中間の人もたくさんいます。
有名な分類①|クレッチマーの「体型による性格分類」
ドイツの精神科医クレッチマーは、精神疾患の患者の体型を観察し、性格を3つに分類しました。
体型 | 気質 | 性格のイメージ | 関係する病気 |
---|---|---|---|
肥満型 | 循環気質 | おおらか・社交的 | 躁うつ病 |
細長型 | 分裂気質 | 繊細・内向的 | 統合失調症 |
闘士型 | 粘着気質 | 几帳面・頑固 | てんかん |
たとえば、ぽっちゃり体型の人は陽気で人好きかも?と考えたわけですね。
もちろん、今では「体型だけで性格は決まらない」と言われていますが、当時はとても新しい考え方でした。
有名な分類②|ユングの「心の向きと機能による分類」
心理学者ユングは、性格を「リビドー(心のエネルギー)の向き」と「心の使い方」で分類しました。
- 【内向】自分の内側に意識が向くタイプ
- 【外向】外の世界に意識が向くタイプ
さらに、心の機能を4つに分けます。
- 思考(論理的に考える)
- 感覚(五感で感じる)
- 感情(好き・嫌いを重視する)
- 直観(直感でとらえる)
これを組み合わせて、8つの性格タイプに分類したのです。
たとえば、「内向・感情型」の人は「静かだけど、人の気持ちをとても大切にする」タイプかもしれませんね。
余談:MBTI(16タイプ性格診断)はこのユングの性格分類をもとに開発されました。性格類型論のわかりやすさが人々の興味を引いているのかもしれません。
2.性格特性論|ひとりひとりの細かな違いを大事にする考え方
性格を「特徴の集まり」としてとらえる
性格特性論は、性格を「いくつかの特徴(特性)」の組み合わせで見ていこう、という考え方です。
→ 【利点】「この人は○○が強い、△△は弱い」と、細かく個人差を捉えられます!
→ 【欠点】パッと全体像をイメージするのはちょっと難しいです。
今の心理学では、こちらの特性論が中心になって研究されています。
具体例①|YG性格検査(矢田部ギルフォード性格検査)
YG性格検査は、日本の心理学者矢田部達郎が、アメリカの心理学者ギルフォードの検査をもとに作った性格検査です。この検査は、学校や企業の採用試験などでも使われることがあり、比較的広く知られた性格テストのひとつといえます。
YG性格検査では、次の12の特性を測ります。
- 抑うつ性
- 劣等感
- 神経質
- 協調性
- 攻撃性
- 活動性
- 社会的外向 …など。
いろいろな質問に答えることで、「自分はどんな特徴が強いかな?」がわかる仕組みです。
具体例②|ビッグ・ファイブ(5つの重要な性格)
現在、特に注目されているのがコスタとマクレー(Costa & McCrae.)が開発したビッグ・ファイブ(Big Five)と呼ばれる5つの特性です。
- 外向性(人と交流するのが好きか?)
- 調和性(人に優しくできるか?)
- 誠実性(コツコツまじめに取り組むか?)
- 経験への開放性(新しいことにチャレンジできるか?)
- 神経症傾向(ストレスを感じやすいか?)
これらを測ることで、自分の性格の強みや傾向を包括的に知ることができるんです。
たとえば、外向性が高い人は営業や接客業で力を発揮しやすいかもしれませんね!
まとめ|性格を知ることは、じぶんを知ること
性格を分類する方法には、わかりやすさを重視する類型論と、細かい違いを大事にする特性論がありました。
どちらにもメリット・デメリットはありますが、大切なのは「分類に縛られすぎず、自分や他人を知るヒントにすること」。
あなた自身や周りの人たちをもっとやさしく理解するために、ぜひこの知識を役立ててみてくださいね。
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