代表的な質問紙検査|性格や心の状態を知るためのツール

心理学の学びと知識

自分の性格や心の状態を客観的に知るために、心理学では「質問紙」と呼ばれるツールが使われています。この記事では、特に有名な代表的な質問紙について、初心者の方にもわかりやすく紹介していきます。

少し専門的な内容ですが、一つひとつわかりやすく解説していきます。この記事を読めば、心理検査の裏側や、どんなふうに「私たちのこころ」を捉えるのか、心理臨床の現場で行われていることへの理解が深まるはずです。

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性格を測る代表的な質問紙|心のクセを知るために

MMPI|たくさんの項目で「心のバランス」をチェック

MMPI(ミネソタ多面的人格目録)は、アメリカのハザウェイとマッキンレイという研究者によって作られました。

この質問紙は、普通の人と心に不調を抱える人たちとで答え方に違いがあった質問を集めて作られているのが特徴です。

全部で550個もの質問があり、心のさまざまな側面を10の臨床尺度と4つの「妥当性尺度」でチェックできます。特に妥当性尺度は、うそをついていないか、答え方に無理がないかを確認する仕組みになっていて、信頼できる結果を出すためにとても大事な役割を持っています。

YG性格検査|日本で一番よく使われる性格テスト

YG性格検査(矢田部-ギルフォード性格検査)は、アメリカのギルフォードが作ったテストを、日本人向けに矢田部達郎さんが調整したものです。日本で最も広く使われている性格検査といわれています。

質問は120個あり、答え方は「はい」「いいえ」「どちらでもない」の3つから選びます。このテストでは、12の性格的な特徴を測定し、その人を5つのパターン(「平均型」「不安定積極型」「安定消極型」「安定積極型」「不安定消極型」)に分類します。
ただし、MMPIと違って妥当性尺度はないので、回答の正直さをチェックする仕組みはありません


その他の有名な質問紙|不安や気分も測れる

MPI|別角度からみた性格

MPI(モーズレイ人格目録)は、イギリスのアイゼンクが開発しました。80個の質問を通して、「神経質になりやすいか」や「外向的か内向的か」といった性格傾向を測ります。こちらも回答の妥当性を確認するために虚偽尺度が用意されています。

EPPS|回答者の欲求を測定する

EPPS(エドワーズ欲求検査)は、2つの似たような選択肢からどちらかを必ず選ばせる方式を取っています。この強制選択法によって、見栄を張るなどの影響を防ぎ、素直な欲求を調べることができるようになっています。

不安や抑うつを測るテスト

不安や抑うつに特化した質問紙もあります。

MAS(顕在性不安検査)は、前述のMMPIから不安に関連する質問だけを集めたもので、日本版では50の不安項目と15の虚偽項目からできています。

STAI(状態-特性不安検査)は、不安を「今この瞬間の気持ち(状態不安)」と「普段からの傾向(特性不安)」に分けて、それぞれ20項目ずつで測る検査です。

また、BDI(ベック抑うつ質問紙)は、抑うつ(うつ病のような気分の落ち込み)の程度を調べるためのもので、21の質問項目から構成されています。

これらの質問紙は、自分でも気づきにくい心のサインを客観的に知る手がかりになります。


まとめ|質問紙を通して自分を客観的にみる

質問紙は、臨床現場だけでなく心理学研究において全般的にとてもよく使われるツールの一つです。

研究手法としての側面だけでなく、性格や不安、気分などを客観的に見つめる手助けをしてくれるので、自分について、あるいは相手について知りたいときにもとても役立ちます。

質問紙検査をきっかけに、自分の心の状態を少し離れて観察することで、より生きやすく、前向きな毎日をつくるヒントが見つかるはずです!


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